今日は結婚記念日。
そしてひと月前の同じ日は主人の誕生日でした。
実はその日にステキなプレゼントを用意していました。
それを手にしたのは3月9日。
品川の「ギャラリー北欧器」というところでした。
このブログでも何度かご紹介している
益子の若い陶芸家の中園晋作さんから
フリーベリのお話を聞いていました。
中園さんは普段はとても無口な方ですが、
フリーベリを語る時だけは とても熱い人になる。。
彼をそこまで駆り立てるフリーベリの作品とは
どんなものだろう、、そう思ったのがきっかけでした。
中園さんからフリーベリを扱う「ギャラリー北欧器」の
お話を聞いて、HPをのぞいて見ました。
ドキドキしました。
こんな美しい器は見たことがない。
心からそう思いました。
「ベルント フリーベリ」
この美しい器を作った方はスウェーデンの陶芸家で
すでにこの世にはいません。
「北欧器」のHPを 繰り返し眺めるだけの日々が
幾日も続きました。
「いつか北欧器にご一緒しましょう。」
という中園さんからのお誘いは嬉しかったけれど、
私の中ですでに遠く高い場所に位置づけられた器は
実際に見てしまったら、きっと別れる時に切なくなってしまう。
画面の中でそっと見るだけの宝物にしておきたい気持ちがあり、
きっと実物を見る日は来ないだろう。。
なんとなくそう思っていたのですが、、
彼は本当に連れて行って下さったのでした。
3月9日は春の陽射しに溢れた暖かな日でした。
品川の、まるでホテルのようなマンションの一室。
静けさが心地よい空間で
北欧器のオーナーの嶌峰さんが
時折短い言葉で説明しながら
ひとつひとつ並べて下さいました。
なんと言葉で表したら良いのかわからないくらい
美しく品のある器の数々。
手触りといい、形といい、色といい、
どれを取っても素晴らしい。
そしてそれを今、手にしている自分が信じられない、、
上手く言えませんが、
心も身体も舞い上がっているのに、手元だけは静か。
そんな状態でした。
ふと気がついたら、二つの器を
代わる代わる手にしている自分に気がつきました。
まさか買うなんて、思ってもいなかった、、
でも、これを残して帰るのは すごくつらいと感じました。
5月の主人への誕生日プレゼントにしたらどうかしら、。
ふと閃いた思いつきが、良い決断ではないかと。
予算はこの一年間に、自宅のギャラリーで
私自身が働いて手にしたもの。
なんとそれがピッタリの値段。
これはやはり赤い糸かなぁ、、と。
何度も繰り返し手に取って、おさまり具合を確かめ、
迷いに迷って一つの器に決めました。
北欧の器に桐の箱を添えていただいて
大事に抱えて帰りました。
その二日後の東日本大震災。
揺れが少し落ち着いた頃、私の頭を過ぎったのは
北欧器のあの器達は無事だろうかと。
あの時見せていただいた美しい器が
壊れてしまっている光景は
耐えられない気がしました。
メールで「全て無事です」とお知らせをいただいた時には
心の中に一筋の光が射す想いでした。
でもその後も、度重なる余震に
原発事故も重なって、
もしかしたら明日は来ないかも知れない。
たとえ一度でも使ってあげなくてはもったいないのでは。
大げさかも知れないけれど、
そんな事を考えて、何度も箱に手が伸びました。
でも、もし渡してしまったら、
それで全てが終わってしまうような気がして、
なんとか2ヶ月我慢。
先月ようやくプレゼントとして
渡す事が出来ました。
とても喜んでくれました。
ギャラリー北欧器では他にも
有名なルーシー.リーや
あまり聞いた事がないけれど、
アクセル.サルトやカールハリー.スタルハンなど
ステキな作品を取り扱っています。
ひとつひとつの作品に添えられている
オーナーの嶌峰さんの
詩のような美しい言葉を 見るだけでも
贅沢な気分になります。
どうぞご覧になって下さい。
北欧器では、普段使いの器やガラスなども取り扱っています。
計画停電の頃、ろうそくを灯すのが侘びしいと感じていた時
ステキなガラスのろうそく立てを見つけて思わず注文しました。
普段の生活にろうそくの灯りを楽しむということが
当たり前の北欧に生まれた用の美。
次の計画停電が、ほんの少し楽しみに感じましたが
それ以降は使う機会がありませんでした。
本当はオシャレな演出道具として
使うべきなのでしょうけれど、、
今はガラス戸棚の中に、見る楽しみとして
静かに並んでいます。